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素直になれなくて
第8章 波乱と別れ
「……桜庭……あの……」
ハッとして我に帰る。周りの客やら、店の店員から注目を浴びていた。
「……ごめん。」
「いや……こっちこそ……すまない。」
恵美は、コップの水を飲み干した。
「浅井の気持ち……わかるなんて言わないわよ。ただ……このまま、浅井が悠里から離れてしまうのは、納得出来ないって言うか。」
「離れるつもりは、ない。」
浅井は、アイスコーヒーを一口飲んだ。
「絶対死ぬなって……死ぬなって……言ったのに……あいつ……」
浅井は、声を押し殺して泣いた。ひたすら俯いたまま、涙を零した。
「浅井……」
「俺は、彼奴がいなければって……彼奴が現れなければ、悠里は俺のモノになったかもって……考えた事も無くはない………なのに……彼奴が…田坂が居なくなったら……何でこんなに、心にぽっかり穴が空いたみたいになるんだ?こんなに……辛いなんて……チクショウ!」
浅井は、自分の膝を何度も叩いた。
「こんな、ぐちゃぐちゃな気持ちのままじゃ、悠里の側にいても、支えにもなれないんだ。悠里の支えに……」
恵美は、優しく微笑んだ。
「泣きなよ、目一杯さ。田坂はさ、あんたの恋敵でもあったけど、もう十分に大切な友人だったんでしょ?辛いって事はさ、そう言う事じゃないの?」
浅井は、恵美の顔を見た。
「田坂のこと、友達だって認めてあげなよ?ね?」
その言葉に、浅井は顔をクシャクシャにして泣いた。声を上げて、恥ずかしげもなく、おいおい泣いた。
そうなんだ。悠里の好きな人が亡くなったんじゃないんだ。
俺の、俺の、大切な友人が、大好きな友達が亡くなったんだ。
彼奴の、生意気な態度も、すぐにヤキモチ妬くところも、たまに尊敬してくれる所も、彼奴の笑った顔も、怒った顔も……全部、全部好きだったんだ。
だから……こんなにも、辛い……辛いんだ。
何で死んだんだよ……馬鹿野郎っ!
田坂の馬鹿野郎っ!
「……少し、落ち着いた?」
浅井は、泣き腫らした顔を上げて、恥ずかしそうに頭を掻いた。
「……ああ……年甲斐もなく……すまん。」
恵美は、クスクス笑った。
「いいわよ。いい歳のおじさんの泣き顔見てるのも、なかなかのものだったから。」
浅井は、おしぼりで涙を拭った。
「桜庭って、毒舌だよな。」
「お褒めに預かり光栄です。」
「いや、褒めてないから。」
あら、そうなの?と言って、恵美はケラケラ笑った。
ハッとして我に帰る。周りの客やら、店の店員から注目を浴びていた。
「……ごめん。」
「いや……こっちこそ……すまない。」
恵美は、コップの水を飲み干した。
「浅井の気持ち……わかるなんて言わないわよ。ただ……このまま、浅井が悠里から離れてしまうのは、納得出来ないって言うか。」
「離れるつもりは、ない。」
浅井は、アイスコーヒーを一口飲んだ。
「絶対死ぬなって……死ぬなって……言ったのに……あいつ……」
浅井は、声を押し殺して泣いた。ひたすら俯いたまま、涙を零した。
「浅井……」
「俺は、彼奴がいなければって……彼奴が現れなければ、悠里は俺のモノになったかもって……考えた事も無くはない………なのに……彼奴が…田坂が居なくなったら……何でこんなに、心にぽっかり穴が空いたみたいになるんだ?こんなに……辛いなんて……チクショウ!」
浅井は、自分の膝を何度も叩いた。
「こんな、ぐちゃぐちゃな気持ちのままじゃ、悠里の側にいても、支えにもなれないんだ。悠里の支えに……」
恵美は、優しく微笑んだ。
「泣きなよ、目一杯さ。田坂はさ、あんたの恋敵でもあったけど、もう十分に大切な友人だったんでしょ?辛いって事はさ、そう言う事じゃないの?」
浅井は、恵美の顔を見た。
「田坂のこと、友達だって認めてあげなよ?ね?」
その言葉に、浅井は顔をクシャクシャにして泣いた。声を上げて、恥ずかしげもなく、おいおい泣いた。
そうなんだ。悠里の好きな人が亡くなったんじゃないんだ。
俺の、俺の、大切な友人が、大好きな友達が亡くなったんだ。
彼奴の、生意気な態度も、すぐにヤキモチ妬くところも、たまに尊敬してくれる所も、彼奴の笑った顔も、怒った顔も……全部、全部好きだったんだ。
だから……こんなにも、辛い……辛いんだ。
何で死んだんだよ……馬鹿野郎っ!
田坂の馬鹿野郎っ!
「……少し、落ち着いた?」
浅井は、泣き腫らした顔を上げて、恥ずかしそうに頭を掻いた。
「……ああ……年甲斐もなく……すまん。」
恵美は、クスクス笑った。
「いいわよ。いい歳のおじさんの泣き顔見てるのも、なかなかのものだったから。」
浅井は、おしぼりで涙を拭った。
「桜庭って、毒舌だよな。」
「お褒めに預かり光栄です。」
「いや、褒めてないから。」
あら、そうなの?と言って、恵美はケラケラ笑った。