この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
素直になれなくて
第8章 波乱と別れ
恵美は、オレンジジュースのグラスのストローを指でポンポンと弾きながら、浅井を見た。
「……とにかく、田坂は、どんなに悔やんでも戻って来ない……悠里の側には来れないんだからさ。田坂の分まで、愛してあげられるのは、私は浅井だと…思うよ。あんたの悠里への執着心というか深い愛情は、田坂の事も包み込んで行けると思うんだけど……違うの?」
浅井は、黙ったまま、恵美を見た。
「確かに、愛する人の恋人が亡くなったから、次は俺の番みたいで、周りからは不謹慎な感じがあるかも知れない。でも、浅井と悠里は……それに田坂は……そんな言葉で片付けられない……チームと言うか……仲間みたいで……上手く言えないけどさ。私、変かな、可笑しいのかな。」
「…………可笑しくないよ。お前、たまに良い事言うんだよな。」
「……褒めてるの?」
恵美は、浅井に期待の眼差しを向けた。
「褒めてるよ。」
浅井は、フッと笑った。
そう、俺たちは、普通とは少し違った。
普通なら、彼奴らが付き合った時点で、俺は手を引くべきなんだろう。だけど……
彼奴らの行く末を、側で見ていたかった。
あの2人が、幸せになるなら、俺は目一杯応援したかった。
そして俺が見守る事を、田坂は受け入れていた。
時にから掻いながら、時に背中をおしながら、彼奴らの側にいることが、楽しかったし、嬉しかったんだ。
俺は、悠里も、田坂も、大好きだった。いや、大好きなんだ。
それは、田坂も…同じだった…そうだよな?田坂……
田坂は、あの時、最後の力を振り絞って、悠里を俺に託した。
悠里を守れと……他の誰でもない、俺に。

浅井は、ゆっくりと席を立つと、財布から金を出してテーブルに置いた。
「悠里の合鍵、もらっていい?」
恵美は、フッと笑いながら、合鍵を渡した。
「頑張んなさいよ?」
「ああ、サンキュ。」
そう言うと、浅井はポケットに鍵を突っ込み、店を後にした。
/147ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ