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素直になれなくて
第8章 波乱と別れ
悠里は、クスクスと笑うと、浅井の手を取った。
「行こう?」
「ん。」
悠里に連れられて、ショッピングモールに併設されているホテル棟に来た。
「ここのレストラン、予約したの。」
「え?」
今日…特別な事なかったよな……
やっぱり、悠里……変だ。
「悠里?お前、大丈夫か?」
「え?何が?」
浅井は、悠里の腕を掴むと引き寄せて抱きしめた。
「無理…してないか?」
悠里は、ゆっくり浅井を見上げる。
「してないよ。浅井……どうしたの?」
浅井は、言い様のない不安感を感じていた。
「いや、特別な事もないのに…こんなとこ予約するなんて…お前らしくないと言うか。」
「行ってみたかったからだよ。」
浅井は、切なそうに悠里を見つめた。
「悠里……何処にも行かない?」
「浅井?」
「お前が、どっか行っちまいそうで…怖いんだ。」
悠里は、ゆっくり浅井の背中に手を回した。
「行かないよ。何処にも。」
浅井は、更に腕に力を込めた。
「…このまま、閉じ込めて置ければ良いのに…」
悠里はクスクスと笑った。
「いいよ、閉じ込めても。それで浅井が安心するなら…」
「悠里…」
「行こうよ。せっかく予約したし。」
「ん。」
悠里は、背伸びして、浅井の頭を撫でた。
「大丈夫だよ。浅井。」
悠里の優しい微笑みに、浅井は心臓が押し潰されそうになった。
レストランに入ると、個室に案内された。
「やばい……高そう。」
悠里はクスクスと笑う。
「今日は私の奢りだから、安心したまえ!」
「お、悠里、太っ腹!」
「浅井、はい、ワインリスト。好きなの頼んで良いよ?」
「お前なぁ、本当に今日、変だぞ?」
「……浅井に、お礼がしたかったの。」
悠里が優しく微笑む。
「ね?だから、好きなの頼んで?」
浅井は、ニヤニヤしながら悠里を見た。
「じゃあ、一番高いのにしようかなぁ。」
「ゲッ……マジですか?」
「マジですよ。」
固まる悠里を見て、浅井は思わず吹き出した。
「嘘だよ。冗談。俺はこれが良いかな。」
浅井は、ケラケラ笑いながら、ウエイターにワインを注文した。
「悠里……お礼なんてしなくて良かったのに。」
「浅井には、甘えてばかりだったから。」
「良いんだよ。甘えてくれて。」
浅井は、悠里を見つめた。
「俺は、どんな形でも、お前の側に居られれば……それで嬉しいんだ。」
「浅井……ありがとう。」
悠里は、瞳が潤んで行くのを感じた。
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