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素直になれなくて
第9章 愛の行方
「あ、その件なんだが……その……すまん、山城っ!」
部長は、頭を掻いて悠里に頭を下げた。
「退職願……まだ上に出してなくて。」
「え?まだって、3年も経ってるのに?」
悠里は、目を丸くした。
「いや、山城は……何となくまた、戻ってくるような気がして……休職扱いに……」
恵美も、浅井も、呆れた顔をして部長を見た。
「おいおい、そんな顔をするなよ。良いだろ?結果オーライだろ?」
悠里は、クスクス笑い出した。
「部長、ありがとうございます。」
「戻ってくれるんだよな?」
「部長、悠里は、育休中だって言いましたよね?」
浅井は、浩斗を部長の目の前に突き出した。
「何の為の社内保育園だよ?せっかくなんだから、利用したら良いじゃないか?」
悠里も、恵美も、クスクス笑っている。
「わかりました。部長、前向きに検討させて頂きますね?」
「え?悠里……良いのか?」
浅井が驚いた顔をした。
「今までも、保育園だったし。浅井さえ良ければ。」
「俺は、何時でも悠里と一緒に居られるから……大歓迎だよ。」
浅井は、悠里の肩を抱き寄せた。
「ま、取り敢えず、落ち着くまでは、しばらく家に居てよ。それに……ちょっとやりたい事もあるからさ。」
「やりたい事?」
「ん、ちょっとね。」
そう言って、何やら目論んでいる浅井は、ニヤニヤ笑っていた。
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