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素直になれなくて
第10章 門出
「参列者の皆様は、そろそろ会場の方へお願いします。」
スタッフの案内に、控え室にいた友人達は会場へ移動した。
「新郎様も、中へお願いします。」
「そうだった。」
浅井は、悠里にキスをすると、ニッコリ笑った。
「中で、待ってるから。」
「ん。後でね?」
悠里は優しく微笑んだ。


「あー緊張する。」
隣で、悠里の父親が、もう何回吐いたかわからない溜息を吐いた。
「父さん、ただ真っ直ぐ歩くだけだから。」
悠里は、クスクス笑っている。
「悠里。バージンロードにはね、意味があるんだよ。」
悠里の父親は、悠里に笑いかけながら話す。
「これから、歩く道は、生まれてから今日までの道なんだよ。だから、生まれてから今日までの思い出を1つ1つ思い出しながら歩くんだよ。」
悠里は、父の言葉に唇が震えた。
「やだ、父さん……」
父親は、ポケットからハンカチを取り出すと、悠里に手渡した。
「泣いちゃ駄目だよ。これから幸せになるんだろ?悠里。」
悠里は、ハンカチで目頭を押さえた。
両親に、内緒で浩斗を産んだ。
浅井と結婚の挨拶に行った時、初めて浩斗の事も話した。
母には泣かれた。
もっと早く頼ってくれれば良かったのに。と……
父は、ただただ、浅井に頭を下げて礼を言っていた。
娘を見つけてくれて、ありがとう。と。
愛してくれて、ありがとう。と。
「小さかったお前が、いろんな事を経験して、愛する人と出会い、辛い別れも経験して……そして、その悲しみを受け入れてくれる素敵な青年に出逢えた。私は、心から嬉しいよ。悠里。」
今にも泣きそうな父の顔を見て、悠里は涙を零した。
パイプオルガンの調べが流れ始める。
「準備をお願いします。」
悠里は、父親の腕に手を回すと、深呼吸をした。
「父さん。私、父さんと母さんの子に生まれて良かった。ありがとう。」
父は、優しく微笑んだ。
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