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素直になれなくて
第1章 新入社員
三軒茶屋の新店舗の内装を確認して、今日の外回りは終わった。
浅井は社へ戻ると、田坂が残っていた。
「何だよ?頑張ってますアピールか?」
「別に、そんなんじゃ無いですよ。」
口を尖らせて、田坂は言った。
「悠里は直帰させたぞ。」
「は?」
「こうやって、待ってると思ったんだ。お前が…」
「なっ!」
見透かされて、悔しさを滲ませる。
「悠里があんまりモテないから、可哀想になって抱いたのか?」
浅井はニヤッと笑って、田坂に言った。
「なんなんですか?そのボランティア発言。」
「悠里が言ったんだよ。」
「は?」
「少なくとも、悠里はそう思ってる。」
「悠里先輩、鈍感なんですか?」
「アイツは究極の鈍感だよ。2年間、俺のアプローチに気がつかない。自分がかなりモテているのも気付かない。」
「モテるって、告白された事ないって。」
「俺が全部潰した。」
田坂は目を見開いた。
「浅井さん、怖いっす…」
「アイツは、鈍感な上に隙だらけなんだよ。だから、追っ払ってないと、今回みたいに喰われちまうからな。」
昨日、今日、会った奴にまで、抱かれちまうとは思ってなかった。今回のは、俺の失態だ。
「お前、俺より前に出会ってるって、言ってたな?」
「はい。」
「じゃ、アイツの死んだ彼氏の事も知ってるのか?」
「……はい……」
「そっか。」
「って言うか、そんな事まで知ってるんですね。」
田坂は少し妬いていた。
「入社して、暫くして、告白したんだよ。」
田坂は目を見開いた。
「そいつの事が忘れられないからって、振られたんだ。」
でも、諦めきれなくて、時間を掛けて、なんて思った。
今思えば、無理矢理、自分のモノにしてしまった方が良かったのかも知れない。
浅井はため息を吐くと、田坂に言った。
「そろそろ…俺もエンジン掛けるから。」
「浅井さん。」
「じゃ、先帰るぞ。」
「お疲れ様です。」
そう言って浅井を見送ると、田坂は悠里のデスクに座った。ふと目に留まる、ガラスのりんごの置物。
「まだ、持ってたんだ。これ……」
田坂は、何かを決意したように立ち上がると、職場を後にした。
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