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素直になれなくて
第2章 同期の気持ち
浅井は、今日のスケジュールが書かれた用紙を渡す。
「今日、行くのはこれで全部。」
田坂が目を通すと、ザッと20軒位ある。
「この横の暗号みたいな数字は?」
「一番上は、約束の時間、その下は電車の時間と乗る番線の番号、その下が電車の所要時間。その横が駅から徒歩で歩いた時の分数だ。」
「社用車あるのに、使わないんですか?」
「店舗回りの時は、駐車場ない事の方が多いから、電車の方が楽なんだよ。」
「こんなに細かい事、浅井さん、凄いですね。」
「馬鹿、俺じゃない、悠里だ。事前に作ってくれてたから行けるけど、なかったらこの件数は回れない。」
悠里先輩……凄いな。
関心しながら歩いていると、浅井が横でため息を吐いて言った。
「お前の所為だよな?昨日の……悠里の」
田坂は一瞬、浅井を見て、そして俯いた。
「…はい…」
「喧嘩でも…したのか?」
「告白して、玉砕です。」
田坂は頭を抱えた。
「忠告したのに、告白したんだ。」
「やっぱり、亡くなった奴が忘れられないって。」
多分、思い出して泣いたんだろう。
田坂は浅井をチラッと見た。
「悠里、浅井さんの所にいるんですよね?」
浅井が、ニヤッと笑った。
「……抱いたんですか?…」
田坂は目を閉じて、浅井に言った。
「病人を抱くほど、非情じゃないよ…」
田坂は明らかにホッとした顔をした。
「ホッとした顔、してんじゃねえよ…」
「すみません。」
「アイツが望まなければ…抱いたりしない。望まれたら…」
浅井は、昨日の悠里の肌が脳裏をよぎる。
「……我慢出来ない…」
田坂は、手をグッと握りしめた。
「でも、まだアイツの心には…」
傷の深さに、ため息が出る。どうしたら悠里の傷は癒えるんだ。

外回りも終盤になると、田坂は疲れを見せた。
「浅井さん、体力ありますね。」
「慣れだよ、慣れ。」
「なんか、負けてるみたいで嫌だ。」
「馬鹿なこと言ってないで、最後は難関だぞ?」
難関?
たどり着いた場所は飯島家具。浅井はネクタイを締め直した。
「何を言われても、笑ってろ!良いな?」
「何をって?」
「言葉通りの意味だ。」
そう言うと、浅井は店の入り口をくぐった。
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