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素直になれなくて
第4章 過去の
田坂は、帰宅してシャワーを浴びると、買って来た弁当を温めた。
「はぁー悠里の飯、食いてぇー」
1人で叫んで見る。
ピンポーン
不意にチャイムがなって、もしかして悠里かな?と思って、走って玄関を開ける。
「よっ!」
「あれ?浅井さん!」
「なんだよ?」
「悠里の家は隣ですよ?」
「知ってるよ。お前に話があって来た。」
今日、有給で、確か同級生と会う事になったと言っていた浅井が目の前に現れて、田坂は動揺していた。
「出かけてたんじゃないんですか?」
「出かけてたよっ。」
部屋に上がって、田坂のコンビニ弁当を見て、自炊しろよっ!と軽く怒られる。
「とりあえず、お茶で良いですか?」
「気を使うな。話が終わったらすぐ帰る。」
部屋を見回して、何かを探している様だった。
「何なんすか?人の部屋を見学しに来たんですか?」
眉を上げて、怪訝そうに浅井を見た。
浅井の視線が、ある一点に止まる。しばらくじっと見ると、ため息を吐いた。
そして、田坂を睨見つけながら、言った。
「過去の自分が恋敵って、どんな気分だよ?」
田坂は、浅井にゆっくり視線を向ける。
「なあ、田坂……いや…滝島浩樹さんよ?」
浅井の鋭い視線から、逃れる事が出来ない。
「調べたんですか…」
「悠里を墓参りにでも行かせたら、前に進めるかと思った。それで調べたんだよ……」
「……良く、わかりましたね?……」
「俺の友人に興信所やってる奴がいてな。協力してもらった。」
浅井は田坂の飾り棚から、ある物を取って、田坂の目の前に差し出した。
「悠里と、お揃いだろ?」
ガラスで出来たリンゴの置物だ。
「そうですよ…」
長野に引っ越す時に、お互いにプレゼントしあった、思い出の品だった。
「なんで名乗り出ない?滝島だって名乗って、告白すれば良いじゃないか?」
「そう簡単に行かないんですよ。」
田坂は、頭を抱える様にため息を吐いた。
「わかる様に説明しろよ。」
「…長野に行って、暫くして骨髄移植のドナーが見つかった。辛かったけど、悠里に会う為に頑張ったんだ。そのおかげで、移植成功して、無事に退院したんだ。」
だが、その矢先、両親が離婚した。落ち着くまでは、東京に行くことが出来なかった。そしてまた再発。抗がん剤の治療と臍帯血移植で、何とか退院した。
「退院する時に、言われたんだ。5年……再発がなければ完治だって。」
「はぁー悠里の飯、食いてぇー」
1人で叫んで見る。
ピンポーン
不意にチャイムがなって、もしかして悠里かな?と思って、走って玄関を開ける。
「よっ!」
「あれ?浅井さん!」
「なんだよ?」
「悠里の家は隣ですよ?」
「知ってるよ。お前に話があって来た。」
今日、有給で、確か同級生と会う事になったと言っていた浅井が目の前に現れて、田坂は動揺していた。
「出かけてたんじゃないんですか?」
「出かけてたよっ。」
部屋に上がって、田坂のコンビニ弁当を見て、自炊しろよっ!と軽く怒られる。
「とりあえず、お茶で良いですか?」
「気を使うな。話が終わったらすぐ帰る。」
部屋を見回して、何かを探している様だった。
「何なんすか?人の部屋を見学しに来たんですか?」
眉を上げて、怪訝そうに浅井を見た。
浅井の視線が、ある一点に止まる。しばらくじっと見ると、ため息を吐いた。
そして、田坂を睨見つけながら、言った。
「過去の自分が恋敵って、どんな気分だよ?」
田坂は、浅井にゆっくり視線を向ける。
「なあ、田坂……いや…滝島浩樹さんよ?」
浅井の鋭い視線から、逃れる事が出来ない。
「調べたんですか…」
「悠里を墓参りにでも行かせたら、前に進めるかと思った。それで調べたんだよ……」
「……良く、わかりましたね?……」
「俺の友人に興信所やってる奴がいてな。協力してもらった。」
浅井は田坂の飾り棚から、ある物を取って、田坂の目の前に差し出した。
「悠里と、お揃いだろ?」
ガラスで出来たリンゴの置物だ。
「そうですよ…」
長野に引っ越す時に、お互いにプレゼントしあった、思い出の品だった。
「なんで名乗り出ない?滝島だって名乗って、告白すれば良いじゃないか?」
「そう簡単に行かないんですよ。」
田坂は、頭を抱える様にため息を吐いた。
「わかる様に説明しろよ。」
「…長野に行って、暫くして骨髄移植のドナーが見つかった。辛かったけど、悠里に会う為に頑張ったんだ。そのおかげで、移植成功して、無事に退院したんだ。」
だが、その矢先、両親が離婚した。落ち着くまでは、東京に行くことが出来なかった。そしてまた再発。抗がん剤の治療と臍帯血移植で、何とか退院した。
「退院する時に、言われたんだ。5年……再発がなければ完治だって。」