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素直になれなくて
第4章 過去の
「あと3ヶ月……。」
浅井は、静かに田坂の言葉を聞いていた。
「高2の冬から……いつも、死と隣り合わせだった。今も、もし再発したら……悠里の側にいれなくなる。その恐怖でいっぱいなんですよ…情けない…」
「……田坂……」
「悠里と離れて、死を思った時…このまま俺の事を忘れて、他の奴と幸せになれば良いと思った。だから、ワザと携帯を解約して、仲良かった奴に頼んで、ダメだったって事にしてくれって頼んだ。」
浅井は…溜息を吐く。
「そこまでしたのに、なんで今更現れた…」
「見かけたんだ。悠里と浅井さんを…」
あれは、長野の大学を卒業する少し前、友達と東京に遊びに来ていた時だった。友達の1人がコーヒー好きで、1度中島珈琲に行ってみたいと言われ、渋谷店に行った時だった。
聞き覚えのある声が店内に響いた。
「こんにちは。」
グレーのスーツに身を包んで、少し大人になった悠里が立っていた。
…悠里…?
思わず立ち上がろうとした時だった。悠里の後ろに同じくスーツを着こなした男が現れた。
……誰?
悠里と楽しそうに話している。
2人は店長らしき人と打ち合わせをしているようだった。
ここで仕事してるんだ。
悠里、綺麗になった…高校生のあのあどけない悠里とは違い、化粧をして、髪を伸ばし、少し大人の女性になっていた。
ただ、笑った時の笑顔は、あの時のままだった。
声を掛けたかった。今どうしてる?元気だった?
今更だったけど、一番気になった…
ー彼氏はいるの?ー
確かめたかった。今の悠里が、どんな事をして、どんな景色を見てるのか…
オレの事を忘れてしまったのか…
誰かと付き合っているのか…
既に他の企業に内定をもらっていたが、そんな事はどうでも良かった。中島珈琲の親会社である中島産業の社員募集を調べて、就職試験を受けた。内定をもらえ、悠里が住んでいる所を調べて、空いている部屋を探した。
まさか隣に入居する事になるとは…嬉しい誤算だった。
本当は、遠くから見守って、もし、彼氏がいなかったら…完治出来たら…告白しようと思ってた。
なのに、同じ部署、しかも教育係りが悠里になって…
彼氏がいない事もわかった。
そして、あの状況。無防備すぎる悠里が、部屋着で目の前にいる。魅力がないと俯いて、少し寂しそうな悠里に我慢できなかった。
次の瞬間ー
抱きしめて…キスをした…
もう、止まらなかったー
浅井は、静かに田坂の言葉を聞いていた。
「高2の冬から……いつも、死と隣り合わせだった。今も、もし再発したら……悠里の側にいれなくなる。その恐怖でいっぱいなんですよ…情けない…」
「……田坂……」
「悠里と離れて、死を思った時…このまま俺の事を忘れて、他の奴と幸せになれば良いと思った。だから、ワザと携帯を解約して、仲良かった奴に頼んで、ダメだったって事にしてくれって頼んだ。」
浅井は…溜息を吐く。
「そこまでしたのに、なんで今更現れた…」
「見かけたんだ。悠里と浅井さんを…」
あれは、長野の大学を卒業する少し前、友達と東京に遊びに来ていた時だった。友達の1人がコーヒー好きで、1度中島珈琲に行ってみたいと言われ、渋谷店に行った時だった。
聞き覚えのある声が店内に響いた。
「こんにちは。」
グレーのスーツに身を包んで、少し大人になった悠里が立っていた。
…悠里…?
思わず立ち上がろうとした時だった。悠里の後ろに同じくスーツを着こなした男が現れた。
……誰?
悠里と楽しそうに話している。
2人は店長らしき人と打ち合わせをしているようだった。
ここで仕事してるんだ。
悠里、綺麗になった…高校生のあのあどけない悠里とは違い、化粧をして、髪を伸ばし、少し大人の女性になっていた。
ただ、笑った時の笑顔は、あの時のままだった。
声を掛けたかった。今どうしてる?元気だった?
今更だったけど、一番気になった…
ー彼氏はいるの?ー
確かめたかった。今の悠里が、どんな事をして、どんな景色を見てるのか…
オレの事を忘れてしまったのか…
誰かと付き合っているのか…
既に他の企業に内定をもらっていたが、そんな事はどうでも良かった。中島珈琲の親会社である中島産業の社員募集を調べて、就職試験を受けた。内定をもらえ、悠里が住んでいる所を調べて、空いている部屋を探した。
まさか隣に入居する事になるとは…嬉しい誤算だった。
本当は、遠くから見守って、もし、彼氏がいなかったら…完治出来たら…告白しようと思ってた。
なのに、同じ部署、しかも教育係りが悠里になって…
彼氏がいない事もわかった。
そして、あの状況。無防備すぎる悠里が、部屋着で目の前にいる。魅力がないと俯いて、少し寂しそうな悠里に我慢できなかった。
次の瞬間ー
抱きしめて…キスをした…
もう、止まらなかったー