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素直になれなくて
第4章 過去の
あの夏、初めて抱いた悠里の感触が蘇る。
同じ悠里が、自分の腕の中で、切なく潤んだ瞳を自分に向けている。
あの時と同じ、可愛い声で鳴いている。
自分だけのものにしたい。
もう、誰にも触れて欲しくない。
強烈な独占欲で、悠里の身体を味わい尽くし、抱きつくした。
でも、結果、そのことが悠里を苦しめた。
昔のオレの事が、忘れられないと拒まれた時は、本当に驚いた……オレが滝島に似ていると言って泣いていた悠里が堪らなく愛おしかった。
すぐにでも、正体を明かして抱きしめたかった。
でも、もし再発したら……もし、本当にダメになったら、悠里はどうなってしまうのだろう。また、悲しい思いをさせてしまう……
「結局……俺がビビっている所為で、悠里を苦しめている。」
黙って聞いていた浅井が、ゆっくりと口を開いた。
「中途半端だな……」
「……本当に、その通りですよ……」
自分に腹が立つ……ただ、もう遠くから見守っているだけでは、我慢出来ない……側にいて、いつも見ていたい…自分だけのモノにしたくて……
項垂れる田坂に、浅井は言った。
「あと、3か月か……」
そう言って立ち上がると、田坂に視線を向けて言った。
「黙っててやるよ。」
「浅井さん…」
「俺は、死を覚悟なんて今までした事ないから、お前の気持ちは正直わからん。ただ、悠里の事を色々考えてやってきた事なんだろ?」
「…結局、良かったんだか悪かったんだか…」
「ま、アイツが、悠里が立ち止まったままなのは、お前が付いてきた嘘の所為でもあるな。」
田坂は、返す言葉もなかった。
「責任取れよ。最後まで。」
「真実を知って、悠里がどう思うのか、きちんと見届けろ。」
「浅井さん…」
「お前が再発して、万が一の事があったら、悠里はオレが貰う。」
田坂は、拳を強く握り、浅井を見た。
「あの世から、指を咥えて見てろよ。悠里が俺のモノになるのを…」
田坂は、カッとして浅井の胸ぐらを掴んだ。
「悔しいか?なら、生きろ!何が何でも生きてみせろよ!ビビってんじゃねえよっ!」
田坂は、浅井の言葉に、唇を噛み締めた。
「悠里は…誰にも渡さない…」
田坂のその言葉を聞いて、浅井はフッと笑った。
「それでいい。」
そう言うと、浅井は田坂の肩をポンと叩いて、部屋を後にした。
「浅井さん、カッコつけてんじゃねーよ。」
田坂の心に浅井の言葉が突き刺さった。
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