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素直になれなくて
第5章 恋人
プリンスホテルのロビー。
悠里は、淡いブルーの花柄のワンピースを着ていた。
遠くの席に座って、田坂と浅井は悠里を見ていた。
「随分とオシャレして、悠里先輩…」
「アホ、あの服。今朝職場に届いたんだよ。あの若社長から。」
「服まで、指定なんですか?」
「お前、男が女に服を贈るって、脱がせる前提なんだよ。」
「じゃ、やっぱり…」
「絶対、部屋取ってるぞ。」
田坂は溜息をを吐く。
暫くすると、若社長が現れた。
ダークグレーのオシャレなスーツを着こなし、悠里をエスコートしていく。
「腰!手を離せ!」
「お前が興奮してどうするんだ。」
高層階のレストランに行き、窓側の夜景の見える席に悠里達は座った。
田坂と浅井は、少し離れた席に座った。
「似合ってる…」
「あ、ありがとうございます。」
「今日は、嬉しいよ。やっと夢が叶った。」
そう言いながら、シャンパンを飲み干した。
「大袈裟です。若社長のお相手なら、もっと素敵な方が沢山いらっしゃるでしょう。」
「諭。」
「え?」
「諭って呼んでよ?デートなんだから。」
「あ、はい。」
「早く…」
「諭さん。」
「…悠里ちゃん、照れてるの?可愛いね。」
「からかわないで下さい。」
暫くすると、フルコースの料理が運ばれて来る。
「僕は、正直今まで色んな女性と付き合って来たんだ。でも、悠里ちゃんは違うよ?」
「あの。」
「本気だからね?」
悠里は少し困った顔をした。
「食べよう。冷めちゃうと美味しくないから。ね?」
悠里は、若社長の話に合わせた。
ふと、足元に違和感を感じる。
若社長の足が、悠里の足元に当たった。
靴を脱いだその足は、悠里の脚を擦り上げる。
「あ、あの…」
「どうしたの?」
「あ、止めて下さい。」
若社長の脚が、スカートの中に入って来る。悠里は進入を防ぐため、太腿に力を入れた。
「ふーん…契約…いいんだ。」
「え…」
「脚、開けよ?」
悠里は唇を噛み締め、俯いた。
「君の連れに気付かれたら、契約白紙ね。」
悠里はゆっくり顔を上げる。
「僕が気付いてないとでも思ったの?」
「脚。」
悠里は、ゆっくりと脚を開く。
「いい子だ。」
若社長は、悠里の手を握り、手のひらに何かを握らせた。
「それ、君の中に入れてよ?」
渡されたのは、小さなローターだ。
「下着も、指定のもの着けてきたんだろ?なら簡単な筈だ。」
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