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素直になれなくて
第1章 新入社員
「田坂くん、疲れてない?」
「ははっ、まだ初日なんで、大丈夫です。」
「そ?それは良かった。」
悠里に優しい笑顔を向けられて、田坂はドキッとする。
「山城さんは、いつも外回りですか?」
「うーん。今は新しい店舗を抱えてるから、その所為でバタバタしてるけど。田坂くんは、営業希望?」
「はい。」
「そっか。じゃ新人研修終わったら、外回り連れて行くね?」
「本当ですか?ありがとうございます。」
悠里は、会社近くの賃貸マンションに住んでいる。
マンションの入り口まで来ると、田坂が驚きの声を上げる。
「山城さん、ここに住んでるんですか?」
「そうだよ。」
「自分もです。」
「えっ?そうなの?」
ちょっとビックリしてエレベーターに乗ると、田坂は悠里と同じ階のボタンを押した。
「えっ?5階?」
「はい、そうなんです。」
そして、フロアに降りると愕然とする。
「お隣さんだったんですね。」
「一昨日、引越し作業してたの、田坂くんだったの?」
悠里はビックリした。
「山城さん、何回挨拶に行っても居なくて、挨拶が遅れてすみません。」
田坂は額をポリポリ掻いた。
「ははっ、いいよ挨拶なんて。」
「でも…」
「じゃ、また明日ね。」
悠里は会話を途中で切るように部屋に入ると、ソファに座って放心状態になった。
「お隣さんって…」
頭を振って、深い溜息を吐いた。
悠里は、コンタクトを外して眼鏡にすると、部屋着に着替え、冷蔵庫を覗き込み適当に食材を出すと、夕飯の準備をし始めた。
「えっと、ビーフシチューの素、あっ、あった!」
野菜を圧力鍋で煮込みながら、シチューの素を手にした時だった。
ピンポーン
「ん?誰?」
インターホンを確認すると、田坂だった。
「どうしたの?」
ドアを開けて声をかけると、引越しの挨拶の品を渡された。
「気使わないで良いのに。」
「いや、でも、一応です。」
品を受け取った悠里だが、田坂はまだ何か用事があるみたいで、悠里を見ている。
「いい匂いが…」
そう言うと、田坂の腹の虫がキュルキュルと音を立てた。田坂はお腹を押さえて、真っ赤になった。
悠里はクスクスと笑った。
「食べてく?」
「えっ…良いんですか?…その…俺、一応男ですけど。」
「あ、そっか。じゃ出来上がったら…」
「お邪魔しまーす!」
悠里の言葉を遮り、田坂は部屋へ上がっていく。
「ははっ、まだ初日なんで、大丈夫です。」
「そ?それは良かった。」
悠里に優しい笑顔を向けられて、田坂はドキッとする。
「山城さんは、いつも外回りですか?」
「うーん。今は新しい店舗を抱えてるから、その所為でバタバタしてるけど。田坂くんは、営業希望?」
「はい。」
「そっか。じゃ新人研修終わったら、外回り連れて行くね?」
「本当ですか?ありがとうございます。」
悠里は、会社近くの賃貸マンションに住んでいる。
マンションの入り口まで来ると、田坂が驚きの声を上げる。
「山城さん、ここに住んでるんですか?」
「そうだよ。」
「自分もです。」
「えっ?そうなの?」
ちょっとビックリしてエレベーターに乗ると、田坂は悠里と同じ階のボタンを押した。
「えっ?5階?」
「はい、そうなんです。」
そして、フロアに降りると愕然とする。
「お隣さんだったんですね。」
「一昨日、引越し作業してたの、田坂くんだったの?」
悠里はビックリした。
「山城さん、何回挨拶に行っても居なくて、挨拶が遅れてすみません。」
田坂は額をポリポリ掻いた。
「ははっ、いいよ挨拶なんて。」
「でも…」
「じゃ、また明日ね。」
悠里は会話を途中で切るように部屋に入ると、ソファに座って放心状態になった。
「お隣さんって…」
頭を振って、深い溜息を吐いた。
悠里は、コンタクトを外して眼鏡にすると、部屋着に着替え、冷蔵庫を覗き込み適当に食材を出すと、夕飯の準備をし始めた。
「えっと、ビーフシチューの素、あっ、あった!」
野菜を圧力鍋で煮込みながら、シチューの素を手にした時だった。
ピンポーン
「ん?誰?」
インターホンを確認すると、田坂だった。
「どうしたの?」
ドアを開けて声をかけると、引越しの挨拶の品を渡された。
「気使わないで良いのに。」
「いや、でも、一応です。」
品を受け取った悠里だが、田坂はまだ何か用事があるみたいで、悠里を見ている。
「いい匂いが…」
そう言うと、田坂の腹の虫がキュルキュルと音を立てた。田坂はお腹を押さえて、真っ赤になった。
悠里はクスクスと笑った。
「食べてく?」
「えっ…良いんですか?…その…俺、一応男ですけど。」
「あ、そっか。じゃ出来上がったら…」
「お邪魔しまーす!」
悠里の言葉を遮り、田坂は部屋へ上がっていく。