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素直になれなくて
第6章 暴露
「悠里…ごめん……大丈夫?」
「うん……大丈夫……」
田坂は、悠里を優しく抱きしめる。
また、ムリさせた…浅井さんに怒られそうだ。
そんな事を思っていた。
「そろそろ、準備しないと……」
悠里が、田坂の胸に顔を埋めて言った。
「そうだね。」
そう言うと田坂は、静かに微笑んだ。
悠里はゆっくりと起き上がると、リビングへ行った。
「キッチン、借りてもいい?」
田坂は、バツの悪そうな顔をした。
悠里が冷蔵庫を開けて、固まっている。
「ね?ヒロくんって何時も何食べてるの?」
ビールが入っているだけで、卵すら入っていない。
「いや、自炊しないから。」
「昨日は?何食べた?」
「え?あ、カップ麺…」
「その前は?」
「コンビニ弁当。」
悠里は溜息を吐いた。
「あ、あの…悠里?」
「30分したら、私の部屋に来て?」
田坂は、不安そうな顔をした。
「あの、悠里?」
「シャワー浴びて?朝食作っておくから。」
「…悠里……」
だって、ヒロくんの所じゃ、何も作れないし。
「わかった??」
「……はい。」
田坂は、申し訳なさそうな顔をした。
「じゃ、後でね?」
「うん。」
悠里を見送ると、田坂は、シャワーを浴びて、スーツに着替えると鞄を持って、悠里の部屋に行った。
ピンポーン
インターホンから入って良いよ?と悠里の声がした。
扉を開けると、いい匂いがした。
「悠里……いい匂いが……」
「ここ、座って?」
炊きたてのご飯、豆腐とネギの味噌汁。卵焼きに焼き魚と切り干し大根。和食定番のメニューが並ぶ。
「美味そう……」
「召し上がれ?」
「うん…戴きます!」
メッチャ美味い!感動しながら、次々と平らげていく。
「ねえ、ヒロくん。良かったら、毎日食べに来ても良いよ?」
「え?……本当?……」
「あの食生活じゃ、白血病再発云々の前に、栄養不良で具合悪くなるよ?」
悠里は、田坂の顔を心配そうに見つめた。
「じゃあ……一緒に住んで?」
「え……一緒に?」
悠里は、頬を染めて、田坂を見つめた。
「ダメ?」
「ダメじゃないけど……」
「じゃ、決まりね?」
「実はこのマンションの上、少し広い部屋空いてるって不動産屋さん言ってたんだ。」
田坂の嬉しそうな顔を見て、悠里はクスクス笑った。
「今度の日曜、見に行こうよ?」
「うん。そうだね。」
悠里は、優しく笑った。
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