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夜は、毎晩やってくる。
第1章 プレイ・フォー・ペイ
「ううっ……会いたいよう……」
涙目。
こんなに辛いなんて思わなかった。
会いたいのに会えない。
そんな想いを歌った歌はたくさんある。あたしも歌うの好き。
でも、それは流行の曲で、なんとなく耳触りのいいメロディで、そして本当にその歌の意味がわかっていたら、とても歌えるものなんかじゃないんだ。今は聴きたくもない。
零音とあたしは大人たちの手によって引き裂かれた。
あんなに愛し合っていたのに。
あんなに尽したのに。
あんなに捧げたのに。
でも、もとはと言えばあたしが悪いんだ。
あたしの愛が二人の距離を遠ざけてしまった。
恋は盲目って言うけれど、本当にそう。
だって、あたしの全ては零音のためになっていた。
零音のために可愛い服を買って。
零音のために高価なアクセサリーを身に着けて。
零音のためにバッグや小物、あと恋文を保存しておくためのメッセージボックスの追加容量だとか、スペシャルエピソードのコンプもした。
そうすれば、零音が優しくしてくれるから。
彼の秘密の部屋に入ってお茶したりして、私のことを見つめてくれるから。
いつになったらデートに誘ってくれるの?
いつも私の方からばかりだよ。
焦らされて、貢いで、そして……でも、それも幸せな時間だった。
ああ、ああ。
だけど、過ぎ去ってみれば、幸せな時は一瞬で。
目を三角にしたお母さんが、クレジッカード会社からの請求書を私に突きつけ、スマホを取り上げられてしまうことになるなんて。