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夜は、毎晩やってくる。
第1章 プレイ・フォー・ペイ
「アホだねー」
と詩利香。
「しょせんゲームのキャラでしょー?」
「そうだけど……でも、違うもん! 零音はいるの……あたしの心の中に」
「こわっ! 怖いわー。乙女ゲー……ヤバイ、ヤバイ」
あたしたちは放課後の教室で、こうしてダラタラ喋っている所だった。
自分の机につっぷすようにしてグズるあたしを、手前の席に後ろ向きに腰かけた詩利香が慰める……というか、慰めてないよね、これ。
「詩利香にはわかんないんだよ、この気持ち。ゲームしたことないから……ううん、恋をしたことがないんだもの」
「いや、ちょっ……恋って、ええ~? なんでそうなるの? あんた、自分のが恋だとでも?」
「違うの?」
否定されたらワンワン泣きだしてやる。
そんな決意を秘めて、詩利香を見つめる。
「……う」
私の覚悟を察知したらしい彼女は口ごもった。
そして、
「だったらさ、スマホ買えばいいじゃん。自分の」
と、慰めモードに転換する。
「スマホを……買う?」
その発想はなかった。