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夜は、毎晩やってくる。
第2章 えすかれ
その腕の中で、うっとりと雛子は呟いていた。
「気持ち……良かった……」
「そうだろ? ヒナはこれ、気に入ると思ってたよ、な?」
そう言って見つめられる。
稜也の瞳の中にとろけきった自分の顔。
頬を上気に染め、目を潤ませて。
「……うん」
恥ずかしいけど、認めてしまう。
そして、そうやって認めさせられることもまた、雛子を甘く、切ない気持ちにしてくれるのだ。
「じゃあ、デートの続きをしようか」
稜也が頭を撫でてくれる。
「うん……今日はどこに行くの?」
「どこって……」
わかりきったことを尋ねられたかのように、稜也が目を丸くする。
そうだった。
行先は決まっていた。
さっきのエッチな行為のせいで忘れていた。
この線に乗り換えたらその先には……。
稜也がぎゅっと力を込めて抱いて囁く。
「……次は、下りだよ。決まってるじゃないか」
《えすかれ 了》