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夜は、毎晩やってくる。
第3章 姉に捧げる、愛の……

 大事なことを口にするとき、姉さんはいつも囁くように言う。

「あきらめてはいけないわ……」

 そして、僕の体に腕を廻す。

 きしむベッド。
 シーツに押しつけられる僕の背中。
 体の上を這う指。

「あ、あ……姉さん……」

 切なく眉をひそめて耐える僕を覗き込むのは同じ顔。
 美しい姉さんの顔は、僕と違って挑むようだ。

「言ってごらんなさい、何に苦しんでいるの?」

 うなじから耳の裏へ、優しく手の平が差し込まれる。
 冷たさと、温もりとがひとつに融け合って、僕らはひとつになってゆく。

 苦しんでいる、だって?
 そうかもしれない。だけど、違うんだ。僕にはわからないんだ。

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