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夜は、毎晩やってくる。
第3章 姉に捧げる、愛の……
「ペレアスとメリザンド」。
明日の大会で滑る課題曲だ。
僕には二人の気持ちをどう表現すべきかわからない。
氷上に愛の軌跡を描くことができずにいる。
「……そんなこと」
僕の胸を撫でながら、姉さんが微かに目を細めて笑う。
「どうして? 簡単なことじゃない」
簡単だって? そんなはずはない。
だって、僕は愛を知らないのだから。
知らないものは描きようがないじゃないか。
「私たちのこれは愛じゃなかったの……?」
少し拗ねたように、姉さんが僕の熱い中心に手を伸ばす。
やめてよ。いじめないで……姉さん。
僕はまた恥ずかしい思いをしてしまうよ。
それでも手は止まらずに、ゆっくりと、触れるか触れないかの距離で僕をなぞる。いつものように。