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夜は、毎晩やってくる。
第4章 キャッシュ・レジスター
「ヨーグルト1点……牛乳1点……ベーコン2点……プロセスチーズ2点……」
買い物カゴから、商品をひとつひとつ読み上げながらのレジ。
バーコード読み取り式のレジスターが普及したこの頃、こんなことをしているのは私の勤め先のこのスーパーぐらいのものだ。
よほど旧式のキャッシュレジスターを使っているのかというと、全然そんなことはなく、ちゃんと読み取り面の前を通せば記録ができ、POSとも連動したキッチリ最新式のものを使っている。
私たち従業員に商品分類の読み上げが義務付けられているのは、そのほうがお客様が楽しめるからだ。
「紗美菜(さみな)さんっ……今日も来たよ!」
そう言ってドサリと買い物かごをレジカウンターの上に置いたのは、近所の大学に通う常連客の吉村くんだ。金色のVIPカードを私に差し出す。
カードを受け取りながら、私は小さな声で尋ねる。
「たまにはあっちのレジでお会計を……」
あっちのレジ、というのはすぐ隣のキリコちゃんが担当しているカウンターだ。