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飼育✻販売のお仕事
第14章 夏季休暇

* * * * * * *

 りつきが帰宅すると、たとしえなく気まずい空気が流れていた。

 テーブルに並んだ色とりどりのフレンチが、白けたリビングに唯一の華を添えている。いつもの定位置には伊澄が、向かい側のりつきの席は空いており、その隣で今や共に暮らしているも同然の三郎が酒を仰いでいる。そして伊澄の隣でりつきの胸をざわつかせる青年が、危なげな手つきで白身魚を切り分けていた。


「お帰りなさいませ、お嬢様」

「ただいま……。王子来てたんだ」

「うん」

「申し訳ございません、お嬢様。このような庶民に敷居を跨がせてしまいまして。しかしこの三郎、お嬢様のお大切なご友人の交際相手を、門前払い出来るほど鬼にはなれませんでした所以」

「──……」

「あ、結野様っ。何度も申し上げております通り、どうかお気になさらずその馬鹿とラブラブなさって下さいませ!」

「いや、……良いです」


 三人の嘘を、三郎は未だ見抜いていない。

 伊澄が咄嗟に施した、応急処置──…一ヶ月前のあの朝は、りつきも浩二とデートがしたい一心だった。伊澄に口裏を合わせたが、今や三人、参っている。


「いただきます」

「ではお嬢様。わたくしはこれで失礼を」

「さぶちゃん帰るの?」

「いいえ。アイロンが途中でしたので。お隣の部屋で、お嬢様方のお召し物を仕上げて参ります」

「……有難う」


 ようやっと気の抜ける顔触れだけが残されると、りつきは手早くメインディッシュを平らげた。

 夜十時に毎晩フルコースは健康面で感心しない。

 オードブルや一品料理、釜焼きパンは少し千切り取ってから、タッパに入れて浩二に持たせた。それからりつきは伊澄が片付けを始めると、浩二を連れてベランダに出た。
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