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飼育✻販売のお仕事
第14章 夏季休暇


「新崎さん」

「はいっ」

「今日、顔色悪い?」

「っ…………」

 里子の指摘がスイッチにでもなったかのように、りつきの黒目が泳ぎ出した。

「えっ?そう見えますか……」

「寝不足?」

「いえ、……何でだろ」

 りつきの両手があたふたと動き、白とピンクだけで色づいたような頬を調べる。

 事実、落ち着きなく開閉する唇は、常に比べて白っぽかった。つぶらな瞳を収めた目許はくっきりと開いているものの、二重の幅もやや広い。


「ストレスかもですぅ」

「何かあったの?」

「はい、たまに来るさぶちゃんいるじゃないですか──…」



 りつきが話し出してものの数秒、里子は拍子抜けした。


 要約すれば、こういうことだ。

 りつきは例の執事が浩二との仲を干渉することを避け、性懲りもなく伊澄の協力を得ていた。

 だが、昨夜真相が暴かれてしまい、三郎は浩二にりつきらの部屋を出入りすることを禁じたという。
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