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飼育✻販売のお仕事
第14章 夏季休暇
二週間分は淫らごとに耽ったろうあと、春日家のあるじらの帰宅が報らされた。
ラグジュアリーなディナーの場に、伊澄と恵果、それから彼女の家族や使用人らが集うと、なごやかな時間が流れ出した。そこには、先月店先で顔を合わせた青年の姿もあった。
「あの節は、姉がご迷惑をおかけしました。楽しそうなイベントですよね。自分も今度参加出来ますか」
「お店の方にお問い合わせ下さい。こちらこそ、お姉さんにはお世話になってます」
「ところで、……」
啓吾の溌剌とした顔色が、心なしか遠慮がちにたゆたった。
「お店にいたツインテールのお嬢さんは、お友達の方ですか?」
「はい」
「新崎りつきさんですよね?」
「何故、それを──…」
「そうなの?」
恵果の母親が三杯目のワインを置いて、やんごとない目を見開いた。
「りつきちゃん、あんなところにいたのか」
「何でも、新崎さんと大喧嘩したそうじゃない。……あすこのお父様、厳しいし、年頃の女の子なら仕方ないけど……」
「えらく心配していらしたからな。しかし、……」
「そうね。私達が話したら、伊澄さんの立場が良くなくなるわ。彼女、恵果を介抱してくれたくらいしっかりされてるし」
「うむ……まぁ、住むところがあるなら大丈夫だろう。若い内は色々ある。恵果も反抗期だったからなぁ」
「お父さん!」
「伊澄さん。我々は知らなかったことにしますよ」
「有難うございます」
りつきの実家は一部のネットワークでは有名らしい。
恵果の家族が知っていたところで不思議ではなかった。