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飼育✻販売のお仕事
第14章 夏季休暇


「皆、お留守番ありがとな。久々にまおが来た。お前ら行儀良くしろよ」

 人間の子供の育児を投げ出した男は、確かに、小動物らの教育には長けていた。犬同士でも吠え合う傾向がある中で、ここの彼らは品種構わず馴れ合っている。まおがここまでリードを握っていた二匹の犬も、余所者の少女におとなしく従っていたものだ。

 邦広は一頻り小動物らと戯れると、まおを中に勧めた。

 最後にここを訪ったのは、二年と半年以上前だ。


 家の中は、あの時とは変わっていた。


「お父さんが綺麗にしてる……」

「ちょっとな。友達が出来たんだ」

「女の人?」

「お母さんに言っても良いぞ。疚しいことはないかな」


 聞けば、その友人は、昔まお達の地元に暮らしており、最近それを知ったという。双方近親感を持ち、家を行き来する仲になった。しかも、彼女も大の動物好きであるという。


「一人暮らしにしては立派な家に住んでいる人だと思ってたんだ。借家らしいがな。入って吃驚だよ。お前達の家みたいだった」

 邦広は友人の自慢を続けた。

 面倒見の良い彼女は帰る場所をなくした動物を見付けては、家に迎え入れている。知識もあり、先日も怪我をした小鳥を拾い、獣医の協力もなしに回復させたのだそうだ。


 まおが馳走になった紅茶は別格だった。彼の友人は才色兼備、あらゆる方面に趣味があるという。美味しい茶葉の発掘も、その内一つであるらしい。
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