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飼育✻販売のお仕事
第15章 従業員、エスケープ
* * * * * * *
人間販売の規約に基づき、里子は三ヶ月間買い手のつかなかった商品をピックアップした。
地下二階は由紀子と毅、地下一階は美津子とみのり、俊一、宗弥、それから高額商品のしずくという人間達が相当した。
地上階を志穂に任せて、里子はりつきに契約期間を終えた彼らの荷物を運ばせ、多目的室に一同を集めた。
「三ヶ月間お疲れ様。残念だけど、契約は終了。そちらがお預かりしていた荷物。揃っているか確認して」
「大丈夫です」
「私も」
「あ、ウォークマンがありません」
「これじゃない?」
「ありがと。みのりんとこ移っちゃってたんだ。同じ日に入ったもんね」
「あー、また職探さなくちゃ。事務に戻るとかになったらだるい……」
今朝まで売り物であった人間達は、すっかり一個人の表情(かお)に戻っていた。ただ一人、しずくは彼らと一切の交流をとらないで、暗い面持ちを伏せていた。
「では、最後にペナルティを与えるわ。しずく以外は皆、荷物を持って表口へ移動して。生後三年以上の小動物から、お好きな子を選んで下さい」
人間達が、多目的室を後にした。
里子はしずくを連れてきた闇金融の業者に連絡をとる。
業者は里子が肩代わりした負債の返金を約束すると、しずくを迎えに訪う時間を告げた。
「私達も行きましょう」
「ペナルティって、無料で動物をあげちゃうことだったんですかっ?」
階段を昇る里子の後方から、りつきの驚嘆が追いかけてきた。
りつきが在庫整理に居合わせたのは初めてだ。先月のパーティーでは一部の高額商品を除く見切り品は完売、おまけに伊澄を採用してから、売上も伸びていたからだ。