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飼育✻販売のお仕事
第16章 二人きりで...
「……自殺よ」
「っ…………」
「私は彼女と付き合っていた。だけど彼女は、ある男とも付き合っていた。その男は彼女に住む家を与えて金を与えて、つまるところ飼っているつもりになってたの」
「愛人って、やつ……ですか」
「新崎さんでも、そんな言葉知ってるのね」
里子が揶揄すると、りつきの複雑げな唇が、ぎこちなく尖りかけた。
「私、ある屋敷に勤めていた。家政婦だったの。その雇用主が、その男だった」
「あ……」
「誰かが報せたのね。私達の仲を。最後に会って数時間後、彼女はどこかへ連れ去られた。後から聞いた話だと、旦那様と部下達が、彼女に一晩中乱暴したんですって。誰にも見つからない山奥で。……彼女を……」
…──鈴花を、身動き一つとれないように、
「っ…………」
ピンク色のシルエットが、疾風を描いて里子を捕らえた。
滞った里子の口舌が、がさつな腕にとりこめられる。
里子は、りつきの腕に抱かれていた。
ウエストに巻きつく華奢な抱擁。胸にうずまる柔らかな顔。
「店長」
「…………」
「ごめんなさい」
「新崎、さん……?」
「ごめんなさい」
りつきの腕が力を増した。里子を強く、強く繋ぎとめる細い腕は、だのにどれだけ乱暴でも、少しの痛みも与えない。