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飼育✻販売のお仕事
第17章 疼く想いを
* * * * * * *
「どういうことですか……」
四日振りに姿を見せた従業員に、茫然自失の気色が張りついた。
まおが店を訪ったのは、昼過ぎだ。出勤は夕方のはずの彼女は、昨日地元に連れ帰ったという父親を伴って、足を運んできたのである。
「田辺さんのお父様、VIP会員になる資格はあるわ。ただ、お目当ての品がないならそれは仕方のないこと。新しいのが入荷するまで、諦めてもらわなくては」
「目当ては陽瑠夏です。彼女をどうされたんですか」
「完売」
「酷い……です……」
陽瑠夏を買い取ったのは、一昨日の奈河だ。
道楽に傾倒しているセレブリティでも、昼間は一会社を一人で切り盛りしている奈河は、家政婦には容姿と同様に信頼性も求めていた。その点、濡れごとに麻痺したメスでは家事を任せられなかったという。
「そういうことだから。田辺さんも、喜んであげるべきだわ。彼女がもし、貴女の厚意も受けられないで、お客様の目にもとまらなければ、どうなっていたと思う?」
「それは……」
「私は肩代わりした負債金の全額返還を要請するだけ。……そうね。貴女だって、そうなっていたとしても、同情するところじゃないわ。十年も他人同然だった人間なんて、この世に存在しないも同じ。また夕方。お父様によろしくね」
「待って下さい。本気で仰ってるんですか?せめてどなたに引き取られたか──…」
「お客様のプライバシーは絶対厳守」
「──……」