この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
飼育✻販売のお仕事
第6章 初出勤は人間のお世話?!
朝、里子が「ふぁみりあ」に出勤すると、昨日採用したりつきが落ち着きなく頭を下げ、伊澄が志穂と一緒になって笑っていた。
否、志穂の方は笑っているか甄別し難い。とりわけ厳ついと定評の顔に、おりふし不機嫌を絵に描いた気色がちらつく。
「おはよう」
「うっす」
「おはようございます」
「おはようございますっ、今日から宜しくお願いします」
「聞いてくれよ里子ぉ」
しゃがれたアルトをくねらせて、志穂が里子にすり寄った。
志穂が話すところによると、りつきと伊澄は出勤時刻十分前、指定通りの裏口にいたらしい。
そこに志穂が出勤してきた。
彼女と初対面であった二人は、畢竟するに、どこぞのやくざな女が朝帰りの途中、酔って足を止めたのだと勘違いをした。りつきが所持していた防犯ブザーを鳴らし、近隣の店員らを召集してしまったのだという。