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飼育✻販売のお仕事
第21章 生贄
* * * * * * *
里子は丸裸の少女を実演ブースに引きずり出した。
鮮烈な光にぼやけた客席は、遅緩ながら埋まりつつある。情欲に飢えた無数の目が、宴の生贄に気付くや注視し出した。
「や……お客さ、ま、……入って……」
「ええ。入場時間、過ぎているもの」
里子は愛梨沙の助けを借りて、拘束椅子を運び込んだ。
背凭れの角度を調整出来る革張りのそれは、シートの縁に、左右五組ずつベルトがとりつけてある。
里子はりつきの脚を開いて、太ももから足首までを全てのベルトで押さえつけた。それから両手首に腕輪を嵌めて、背凭れの上部に通ったポールのアーチに鎖で繋いだ。
「離して下さいっ……恥ずかしっ、です…………じゅ、従業員は……脱がなくて良いって……」
かちゃ、かちゃ…………
縦長の大の字がその腕をよじるのに合わせて、手首を吊り上げる鎖が弱々しい音を立てる。
りつきは、辛うじてウエストをくねらせられる程度だ。おりふし動きたがる太ももは、自由になりたがればなりたがるだけベルトが食い込み、仄かな赤みが滲み上がる。
「店長っ?!」
誘導係を一人でこなしていた伊澄が、血相を変えて割り入った。
「りん……っ、く……何ふざけたこと……」
「仕事に戻って」
「りんを離して下さい」
「仕事よ。貴女がいつもしていることと同じこと」
「オレは、っ……」
「お客様の目の前で、やめて」
「──……」
里子は伊澄の二の腕を引き、自ら胸を押しつける。
…──それとも、代わりになる?
中性的な顔かたちを形成している頰をなぞって、今に憤怒を吐きかねない喉をくすぐった。
もの言いたげな従業員は、しこりを投げ捨てるようにして立ち去った。