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飼育✻販売のお仕事
第24章 だから貴女だけが奇跡
りつきが里子に押しつけたキスは、感覚を超える甘美を連れた。
立ちはだかった仔ウサギは、里子の腕を捕まえて、唇から繋ぎとめていた。
「ん、はぁ……んん」
救われたい。一人になりたい。
相反する欲求は、相異なる憂惧をほのめかせながら、一方が一方を凌駕していた。
一人でいる方が怖い。
表層こそ明るい選択肢は、いつでも過失の肩を持つ。
しとりの残ったパステルピンクの髪を指に絡めてキスを重ねて、大きな煌めく双眸に、声に至らざる口舌をささめく。里子はりつきの輪郭をなぞっておとがいを捕らえ、その唇を今また塞いでこじ開けた。
甘い吐息をまとった舌が、里子を迎えて絡みつく。
「ぁっ、ん……ん……」
ちゅ、じゅるっ、ちゅぱ…………じゅるる…………
口許を伝う唾液を啜って、しどけなく開いた二枚の花弁を間断なく啄む。
里子はりつきの片手を拾い上げて、その指先を撫でていた。握ってはたゆめ、たゆめては握る。
ヘアオイルの淡い匂いはりつきに染みているだけで、ともすれば媚薬よろしく里子を酔わせていた。薄めに覗けるりつきの目は、里子の身体の熱を上げた。
唇は、貪っても貪っても、不器用に踊るりつきの舌を、それでも足りんと求め続ける。指が、ネグリジェから伝わる肉叢をまさぐる。りつきの腕を、ウエストを、太ももを、手当たり次第、指が這う。
感覚を得られる器官がいくらあっても足りない。
四肢を備える人間というかたちの肉体では、里子はりつきをどれだけ愛でても愛で足りない。