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飼育✻販売のお仕事
第25章 親友
「お前は……私に何か恨みがあるらしいな」
「お引き取り下さい。りつきが働いてくれているのは
彼女の意志です。私も、最近偶然知りました」
「あいつを慣れ慣れしく呼ぶな!!」
ぎょろりとした目は血走っていた。
聡明な実業家として名が高く、堅実な家長であり聡明な父親であるはずの、これが真正の本性だ。
「まぁ良い。私はお前を訴訟する。お前の出方次第では、小葉らは見逃してやるが?」
横柄に顔の血色を深め、肩で息をしているかつての雇い主の激昂を、里子は静かに見つめていた。
「それとも、所詮はお前のような経営者にとってみれば、従業員こそ使い捨てか?人身売買は犯罪だ。特に、田口まおは学生だったな……可哀想に。お前に関わったばかりに、こんなところで前科を持っては、もう就職も……」
「二人は関係ないわ」
「来い」
「っ、……」
真正の斜め後方に停まっていた外車から、男が二人現れた。
男の一人が里子を後ろ手に捕らえるや、もう一方がシャッターを開ききり、主人を中へと促した。
りつき達が夕餉を挟んで手を合わせた時、伊澄のスマートフォンが鳴った。
着信主はまおだという。たおは、電話の向こうで何やら喚き散らしているらしいかった。