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飼育✻販売のお仕事
第25章 親友
『新崎と名乗る男が現れて……地下の方へ入って行きました……っ。小葉さんが割って入ったんですけど、手を出したら全員警察に突き出すって……』
「店長は?!」
『話があると、連れて行かれました。……「ふぁみりあ」のVIP会員向けの営業は、法的に認められていないんです。売られる側も買う側も持ちつ持たれつの商売だから、今まで誰も訴訟を起こしたりとかなかったんですけど……』
伊澄から奪い取ったスマートフォンを握ったりつきの手は、汗を握って震えていた。
里子に恨みを持った人間にとって、脱法の商いは恰好の報復の材料だった。真正はまおや志穂を見逃すことを条件に、里子を拘束したらしい。
「っ…………」
りつきが軒先に飛び出すと、数分前に夕餉をこしらえて出ていったはずの三郎がいた。
「どちらへお出掛けですか」
「……コンビニ」
「ご所望がございますなら、このわたくしが行って参ります」
「…………」
物腰柔らかな障壁は、断固たる決意を現していた。
「どうして……」
耳の奥でこだました電話口のまおの声が、にわかにりつきを納得させた。
「どうして……お父様に言ったの……」