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飼育✻販売のお仕事
第27章 真相、そして真相
志穂は、寝癖の残ったりつきのパステルピンクの髪をけなした。
ツインテールにしていなければ、ウサギでなくてライオンの子供だ。豪快に口を開けた志穂の目は、りつきでない、どこか遠くを見据えていた。
「ったく、無職になった途端これかよ。お嬢様は良いなぁ、気楽で」
ずずず、と、志穂が紅茶を飲み干した。作法のほどは、とても三週間前に従業員面接と称して訪った女と友人とは信じ難い。
「…………」
「あのさ、新崎」
「…………」
志穂の目は、やはり言い知れぬ覚悟に似通う色を孕んでいた。
この瞬間に至るまで、今日だけでその唇が何度動きかけては閉じ、閉じては動きかけたことか、りつきに振り返る術はない。
「お前と……、里子に……」
「──……」
お前と里子に、謝んねぇといけないことがあるんだ。
それから志穂は、りつきが里子にさえ聞かされなかった事実を語った。否、里子が志穂に聞かされなかった所以、りつきも聞かされなかったのだ。
「っ……、小葉さん……それ……」
真相が出来上がるまでの、真相。
りつきの斜め後方で話を聞いていた伊澄の目が、先日まで上司だった女を鋭くねめつけていた。