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飼育✻販売のお仕事
第6章 初出勤は人間のお世話?!
昼時になった。
地下から上がってきた志穂と伊澄に、里子は午前中の売上報告を受けた。
人間が二体さばけたらしい。
里子はりつき達に休憩を与え、彼女らが戻ってきたのと入れ替わりに休みをとった。二時過ぎになり、最後に志穂が昼餉に向かうと、里子は伊澄に小動物の売り場を任せて、りつきを連れて地下へ降りた。
「お昼はゆっくり休めた?」
「はい。向こうの通りの喫茶店へ行きました。店長はお弁当ですか?」
「ううん、……そっか。外に出るのが面倒なだけ」
原則、里子は休憩時間を事務室で過ごす。まかないのない職について十四年、その間、コンビニエンスストアは不可欠だった。
「私もお料理苦手です。家庭科の授業もさんざんで」
「新崎さんは、そんな感じね」
「分かりますか?」
「生活感、全くないわ」
「えへへっ、よく言われます」
昨日はレースのついたセーラー服、そして今朝はパステルピンクの、ネグリジェのようなシフォンのロングワンピースだった。小花のモチーフがあちこちにあしらってあるパールチェーンのハーネスが、華奢ながら女特有の身体の線を強調していた。
否、いくらりつきが個性的でも、今のは失言だっただろうか。
人間には、時として見目と内面とが一致しない場合がある。さりとて内面に反した見目であって落ち着く場合もあるのだから、配慮すべきは当事者ではなく第三者である。
里子の鬼胎は杞憂に終わった。りつきは全く意に介すことなくからから笑った。