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飼育✻販売のお仕事
第6章 初出勤は人間のお世話?!


 地下一階の人間売り場、鉄の扉の向こうは、ほのかなアルカリ性のしとりが満ちる。

 里子の真隣から、微かに息を呑む気配がした。


「ここがVIP会員限定の売り場。ネコやマゾヒストを中心に展示している」

「本当に……皆さん裸なんですね」

「さ、次はこっち」



 中央台を突っ切って、里子はりつきを奥に招いた。


 三方を巡った鉄格子は一箇所だけ途切れており、凹みに小さな扉がある。

 開くとそこは薄暗い部屋だ。

 里子は右手のスイッチを押す。

 視界が明るむ。畳二畳ほどの個室が並んだ空間が現れた。
 各々の個室は十分な間隔が開き、檻とは違ってケージはガラスで出来ていた。


「ここが、高額商品の売り場。さっきの売り場でご満足のいかれなかったお客様は、こちらに案内して差し上げて」

「こっちは一部屋にお一人ずつなんですね。同じ裸だけど皆さん綺麗!スタイル良いです」

「それだけじゃないわ」

「ふんふん」

「ここはバージンばかりなの。それでいて、技術や感度は最高の状態まで仕込んでいる。食事や運動にこだわって、引き締まっているだけじゃない、筋肉やハリも適度にあって、お客様のニーズにも全て応える」

「お客様の……ニーズ?」


 プレートのかかったケージが一つ、空いていた。

 ここには、今朝まで麻弓という名の十九歳の少女がいた。
 志穂の話によると、青年の方が買っていったという。

 ここの高額商品は、「ふぁみりあ」の莫大な収入源になる。二ヶ月目以降の使用料も、店の口座に振り込まれるからだ。


「次は地下二階。来て」

 里子は最初の売り場に引き返し、VIP会員専用の裏口に繋がる階段とは真逆の地階へ向かっていった。


 和室と洋室を模したケージのロックを一括解除し、バスローブを着込んだメスやオスを呼ぶ。

 多目的室に、里子とりつき、それからざっと二十点ほどの売り物もとい人間が集った。
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