この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
飼育✻販売のお仕事
第6章 初出勤は人間のお世話?!
地下一階の人間売り場、鉄の扉の向こうは、ほのかなアルカリ性のしとりが満ちる。
里子の真隣から、微かに息を呑む気配がした。
「ここがVIP会員限定の売り場。ネコやマゾヒストを中心に展示している」
「本当に……皆さん裸なんですね」
「さ、次はこっち」
中央台を突っ切って、里子はりつきを奥に招いた。
三方を巡った鉄格子は一箇所だけ途切れており、凹みに小さな扉がある。
開くとそこは薄暗い部屋だ。
里子は右手のスイッチを押す。
視界が明るむ。畳二畳ほどの個室が並んだ空間が現れた。
各々の個室は十分な間隔が開き、檻とは違ってケージはガラスで出来ていた。
「ここが、高額商品の売り場。さっきの売り場でご満足のいかれなかったお客様は、こちらに案内して差し上げて」
「こっちは一部屋にお一人ずつなんですね。同じ裸だけど皆さん綺麗!スタイル良いです」
「それだけじゃないわ」
「ふんふん」
「ここはバージンばかりなの。それでいて、技術や感度は最高の状態まで仕込んでいる。食事や運動にこだわって、引き締まっているだけじゃない、筋肉やハリも適度にあって、お客様のニーズにも全て応える」
「お客様の……ニーズ?」
プレートのかかったケージが一つ、空いていた。
ここには、今朝まで麻弓という名の十九歳の少女がいた。
志穂の話によると、青年の方が買っていったという。
ここの高額商品は、「ふぁみりあ」の莫大な収入源になる。二ヶ月目以降の使用料も、店の口座に振り込まれるからだ。
「次は地下二階。来て」
里子は最初の売り場に引き返し、VIP会員専用の裏口に繋がる階段とは真逆の地階へ向かっていった。
和室と洋室を模したケージのロックを一括解除し、バスローブを着込んだメスやオスを呼ぶ。
多目的室に、里子とりつき、それからざっと二十点ほどの売り物もとい人間が集った。