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飼育✻販売のお仕事
第29章 ペットになりたい


「あたし虚しくねぇ?」

「そう?」

「彼女達には乱痴気騒ぎっつってるけど、春日さん……里子とりつき、春日さん自身と結野のカップル成立祝いのためにあたしらを招待したんだろう?あたし関係なくね?」

「志穂も新しくお迎えしたシェティを連れて来れば良かったわね」

「ネコじゃん!」


 全裸の女達の喘ぎ声が観衆の波間を染み通ってゆく閨房を背に、志穂が里子に目くじらを立てた。



 伊澄にりつき、里子、そして恵果は志穂まで招待していた。

 五日前、志穂は施設を釈放された。最初の里子の送検に、真正の私情が関わっていたこと──…ことに関係者達の証言が、志穂の罪科を軽減したのだ。
 里子は恵果の協力を得て、保釈補償金を収めた。ただし、その行動は、公機関に新たな圧力がかかる鬼胎もある。恵果はあえて資金の一部を知人の小会社から募った。新崎のあるじであれ、とりわけあの男のことだ、私的な恨みつらみのために、世間の評判に関わる事態になり得るまでには騒ぎたがらなかろう。


「ま、里子はまじおめでと。お前りつきにベタ惚れだったからな」

「そう見えていた?」

「……りつき。里子はこういうやつだ。お前には苦労かけるだろうが、ウチの子を頼む」

「はいっ、小葉さん!」

「志穂。さっきから私、貴女にからかわれていない?」


 伊澄と恵果が肩を震わせていた。当人のりつきまで大口を開けている。


「…………」

「ところで、何故まだこういうことをなさっているの?」


 里子達から観衆を挟んだ前方では、相変わらず裸の女体が拘束具に繋がれて、合皮のテディに身を固めた女達の淫らな責め苦に喘いでいた。

 二人の女の脚と脚の間から、小さな噴水が起きる。観衆全体の興奮が増す。

 ナイトドレスを優雅に着こなす最後尾の女達の数人まで、女の匂いを醸しているようだ。
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