この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
飼育✻販売のお仕事
第6章 初出勤は人間のお世話?!
* * * * * * *
地下二階の商品に関しては、最低限の生活水準を満たしている。
人格、尊厳。ここを訪う会員達は、それらを保有している人間を買い求めたがるからだ。
「新崎さん」
「はい」
「躾を始めるわ。そこのソファへ」
「はい、……」
素直なだけが取り柄らしい少女が、しずしずソファの前に進んだ。
里子はりつきのパステルオレンジのエプロンを外す。
シャツをはだくと、想像以上に瑞々しい鎖骨が現れた。指先が、ひとりでに柔らかな皮膚に吸われる。
「っ……店長っ?」
砂糖漬けの鈴の音に呼ばれ、我に返った。
里子は、りつきの肩からシャツを落とした。
黒いジーンズの留め具に手をかけるや、今度はりつきがあからさまに抗った。
「いやっっ……」
「新崎さん!」
「何するんですかぁっ」
「躾よ」
「何で従業員まで脱ぐんですかぁっ……」
りつきは素早くシャツを掴み上げ、瞬く速さで肌を隠した。
胸を抱き、うずくまる。天真爛漫な双眸は怯え、珍しいほど狼狽えていた。
「説明したでしょ。早くして」
「店長の言ってた、せっ……性的実技って……もしかして……」
「セックス」
「…──!!」
ほんのり紅潮した頰に、甘ったるい息継ぎ──…拒絶と期待。どちらがりつきの多くを占めるか、里子には、甄別し難い。