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飼育✻販売のお仕事
第10章 VIP会員限定セール〜見切り品〜
突然、志穂の声が扉の外から入室を告げた。
「どうぞ」
「シャワー、終わったぜ。あいつら洗ってやってるだけで変な声出しやがってよぉ、愉快ったら。私やっぱサドの気あるかな」
「ふふっ、今更自覚したの?」
「おっ、ポップ出来てんじゃん。なぁ里子、VIPパーティーのチラシも書かせれば?」
「VIPパーティー?」
りつきが首を傾げた。
里子は今し方までペンを走らせていた帳簿を閉じて、説明を始める。
VIPパーティーとは、「ふぁみりあ」がVIP会員から参加者を募り、深夜に催すイベントを指す。
イベントは多岐に渡る。
主に人間見切り品セール、乱交参加型ステージ、試用会、ふれあい広場の四タイプに分かれていた。
「見切りセール以外は一見不要のようだけれど、その後の販促に繋がる。乱行参加型ステージは、一体一体の商品を通常より詳しく紹介出来る。喘ぎ声や濡れ具合、使用感を一度に多くのお客様にご覧になって、体感していただける。試用会は、地下二階に空きケージがあるでしょう。そこにお客様と商品に入ってもらって、実際にお買い上げ後を疑似体験していただくの」
「で、ふれあい広場が動物園でよくあるあれだ。地下一階の檻を開けて、立食パーティー。檻のやつらは全裸で給仕して、地下二階のやつらはコスプレ」
「ということは、ハロウィンにされるんですね!」
「……こういうコスプレ」
里子はスマートフォンを操作して、ボンテージや花魁の装束に身を包んだ女達の画像を見せる。
傍らで、志穂もスマートフォンを操作し出した。
「こういう人、ウチにもいます」
りつきが指差したのは、志穂のスマートフォンだ。
透けた水着をつけた女と、スーツを着込んだ執事が出ている。
なるほど、りつきの実家は風俗店だ。従業員らはそうした服装で客をもてなしているのだろう。