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飼育✻販売のお仕事
第10章 VIP会員限定セール〜見切り品〜







 午後十時、多目的室の照明が落ちた。同時に柵上のスポットライトが発光し、十三体のセール品をありあり照らした。

 動物園を散策している足どりで、客達が柵の周りを散策し出す。
 相違点を挙げるなら、展示物がどれも皆、客の意のまま振る舞うところだ。そして柵には展示物のデータの他に、赤札のプライスカードが付いている。展示物、すなわち人間達は品種に関わりなく全裸、ポールに首輪で繋がれていた。


「お前さんは玖美というのか。どれ、手触りは」

「お好きな場所をお触り下さい」

 玖美と呼ばれたメスの一体が、男の手を導いた。

 壮齢の指先があと少しで白い乳房に至るところで、男が淫靡な誘導を拒んだ。

「乳じゃ分からんよ」

「申し訳ありません」

「わしの方に尻を向けて、性器が見えるよう四つん這いになれ」

「かしこまりました。ご指示を有難うございます」

 玖美が男に従って、腰を低めた。

 首の鎖が白い乳房を撫で、恥じらいない玖美の体勢が、男の目を昂らせる。


 隣の柵で接客にひと段落ついた志穂が、彼女らの柵に場所を移した。

「お客様。外からではよくご覧いただけないでしょうから、どうぞ中へ」

「ふむ……有難う」


 志穂が柵の扉を開けて、男を玖美の前へ促す。そうして彼女自身も柵に入ると、男に玖美を触らせながら、セールスポイントの列挙に入った。
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