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飼育✻販売のお仕事
第10章 VIP会員限定セール〜見切り品〜
「店長さん」
女の陽気な声が里子を呼んだ。
「あ……康原様。ようこそお越し下さいました、お久し振りです」
「久し振り。新しいペットが欲しくて。生娘が良いわ。太い玩具で泣かせてやるの」
女は、二人の側近を従えていた。
彼女、康原は年のほどは四十後半、笑うとえくぼの出来る医者だ。
「新品のメスは二体おります。こちらへ……」
里子は康原達を高額商品の並べてある一角へ案内した。
すぐ隣では、まおが高齢者の介護を任せられるペットの相談を受けていた。
「こちらのメスは、佳代(かよ)といいます。推奨は七年契約、ご購入後の剃毛、ボディピアスや刺青などの加工も可能です」
「まぁ、二十二歳……お若いのに大人びたこと。なんて扇情的な身体なの。そちらは?」
「蓮(れん)は非常に従順です。基本はマゾヒストに徹しますが、ニーズに合わせてサディストも務めます。契約の推奨期間は十五年です」
「あら、長い。十八歳よね?一体どんなお家にいらしたの……」
康原と彼女の側近達が、黒髪を肩に流した小さな少女を見澄ましながらささめき合う。
高額商品となる人間は、抜きん出た容姿と性交未体験であることが条件だ。
そしてもう一つ、この品種のペット志望者に見られがちな傾向が、住むところをなくした、或いは多額の負債を抱えているケースだ。
高額商品は、通常の五倍以上の上代がつく。近頃は裏社会に評判が出回って、闇金融が負債者達に「ふぁみりあ」への身売りを勧めるケースが屡々あった。