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飼育✻販売のお仕事
第2章 ペット面接・元倒産企業事務員~里子~
「着ているものを、全部脱いで」
「……っ、ここで、ですか?」
扉からノックの音がした。
獣特有の甘みを連れて、外気が入り込んできた。
里子は、構わずのぞみに距離を詰めた。
いとけなさの残った顔を支えるおとがいを、指に掬う。
「売られに来たんでしょ」
「──……、……」
のぞみはジャケットを脱ぎ、カッターシャツを脱いだ。それからスカートのファスナーを下ろす。
そこまでは円滑だった。だが、次のキャミソールかパンティストッキングにかかるところで、のぞみはまたぞろぐずついた。
「あの……」
「早くなさい。地下では全員、ほぼ裸よ」
「──……」
「決まったのか」
「ええ」
「ふぇー、芋臭ぇ女。おっ、身体は良いじゃん」
女は大股で入室するなり、切れ長の目をのぞみに向けた。
フェミニンと侠気とがひとところにある顔に、毛先をすいたミディアムの茶髪──…その装いはいわゆる渋谷ファッションとやらだが、恫喝的にしゃがれたメゾも補翼して、女は屡々暴走族の出だと推定されることがある。
小葉志穂(こばしほ)。
動物取扱業資格所有者であるこの友人は、「ふぁみりあ」に不可欠な人物だ。