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飼育✻販売のお仕事
第12章 落ちこぼれ従業員の特訓

* * * * * * *

 里子は地下二階の多目的室に場所を移し、りつきに衣服を脱ぐよう指示した。

 パステルオレンジのエプロンに、今日はピンクの丸襟ブラウス、それからやはり裾の折ってあるベージュのスラックスのファスナーにかかったところで、たゆたいがちに動いていた手が止まった。


「……やっぱり、恥ずかしいです」

「だから免疫をつけるの。新崎さんだって、一度味わってみた方が感覚も掴める」

「これって、立派な浮気ですよね……」

「いいえ。お仕事」

 里子はりつきの後方に回り、白熱灯の光を吸った肩を包んだ。


「小さくて……すべすべね。新崎さんの背中」

「ひゃっ、……あ、あの、……」


 りつきの肩を撫でながら、パステルピンクの後れ毛の這ううなじに唇で触れる。

「あ、髪」

 上着を脱いだ弾みだろう、ツインテールの数本が、ブラジャーのホックに絡まっていた。

 里子は爽やかな甘みを匂わす髪を、丁寧に金具から外す。

「ぁっ…………」

 りつきからはっとした気配がした。

「どうかした?」

「いえ、……あっ」

 精神的な夾雑物がきたしたものか、生理的現象か。

 今度は、明白だった。


「ブラ!」


 …………ちゅ。


 里子はたどたどしいソプラノが抗議するのを無下にして、奪ったブラジャーを洋服の山に落とした。

 留め具の外れた背骨を覆った肉叢に、キスを落とす。小鳥が蜜を啄むように、背からウエストへ、とろけんばかりに柔らかな皮膚を味わってゆく。
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