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飼育✻販売のお仕事
第12章 落ちこぼれ従業員の特訓
「恋、人……さん、ですか……?」
「ええ、そう」
「…………」
「もう亡くなってしまったけれど」
ただある事実が声に変わった瞬間、里子を突き動かしていたものが急激に冷めた。
「──……」
盗み見た乳房は、僅かな変化を見せていた。少し麓に干渉していただけでこれだ。
「服、着て」
「…………」
「そういう気分じゃなくなったから」
「あ、の……」
後方から衣擦れの音が立ち出した。
ややあって、りつきの動きが止まった。
「店長」
「何」
「──……。エプロン、結べてますか?」
振り向くと、りつきが背中を向けていた。
エプロンの紐がのべつ縦結びになることを気にしていた彼女には、相変わらず上達の見込みがない。
里子は、折れそうに細い、それでいてずんどうなラインに留まったパステルオレンジの蝶を結び直した。