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飼育✻販売のお仕事
第13章 先輩にも特訓されて...


「ごめんね。こっちの話ばかりして。……陽瑠夏ちゃんは、どうする?」

「それは私の質問。ここって、つまり……濡れやすくされちゃうわけだよね」

「うん」

「ご飯は後でもらうね。だから、先に」

「──……」


 まおは持ち込んできたトレイを見下ろす。

 今夜の献立はシチューとハーブのゼリー、そして例の催淫剤だ。



 ここにいるのは売り物だ。友人にただ顔の似ているだけのメスだ。

 自己暗示をかけて、陽瑠夏から体育座りの腕をほどき、まおは彼女の心臓に近い方の乳房を掴む。


「ごめんね」

「っ、……」

 注射器が空になるのは一瞬だ。

 針を抜くと、朝晩の儀式が小さな跡を定着させた一点に、血液の雫がぽつんと出ていた。


「…………」

「陽瑠夏ちゃん」

「ん?」

「陽瑠夏ちゃんを、私が買いたいって言ったら、迷惑?」

「──……」



 まおが調べたところによると、契約推奨期間は一年だ。売れさえすれば一年後には自由の身だが、その月額は法外だ。
 リストラに遭った父親が、ギャンブルに溺れて多額の負債を背負ったという。まおも昔はよく挨拶していた件の男は、娘を金融業者に差し出したらしい。


 身体中に淫語を彫られ、推奨期間満了までソープで酷使されるメス。

 去勢して女の化粧を施され、買い手が死亡するまでオナホールとして使われるオス。

 裏で流通しているドキュメンタリー映像に使われたというメスの場合は、事実、二年間特大サイズの鳥籠に飼われ、精液を主食にしていたと聞く。


 この売り場から買い上げられていったペットは、ひと握りの例を除いて、主人のいかなる仕打ちにも抗議出来ない。

 陽瑠果も同じだ。…………
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