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秘密の二段ベッド
第7章 手を繋いで
「ねぇ~お兄ちゃん本当に大丈夫?」
すぐ隣を歩くあやねが不安そうな声で聞いてくる。
「なにが?」
「顔がカチコチだよ?」
あやねに言われて自分の顔を撫でる。
「いや、うん、大丈夫大丈夫」
「そんな深刻そうに大丈夫って言われても~」
駅から家までの数分間。ある決意を胸に僕は歩いている。
あやねも僕も久しぶりの帰省だ。
あやねは大学の寮から。僕は一人暮らしの家から。
駅からの道は記憶と少し違っていて、懐かしさと新鮮さがごちゃまぜで妙な気持ちになる。
ふ、と横からあやねの手が伸びてくる。
僕の頬をぎゅう~っと摘まんで伸ばす。
「うう、やめろ~」
ぱっと手を離してあやねが僕の顔を覗き込む。
「別に今日言えなくてもいいじゃん」
「う~ん」
僕を見つめる大きな瞳は、小さい頃からずっと変わらない。
いつもキラキラと輝いて、僕を勇気づけてくれる。
ぽん、とあやねの頭に手を置いた。
くしゃくしゃと撫でる。
「あ~、やめてよぉ」
乱れた髪を直そうと手を動かすその仕草が完全に「女の人」で、僕は思わず
「大人になったなぁ……」
と呟いた。
「あはは! なにそれ、おじさんみたい」
笑うと綺麗に弧を描く唇に見とれる。
ずっと見てきた。小さな頃から。
僕のあやね。
「あのさ、僕昔から、大人っていうと二十三歳って思ってたんだよね」
「ふぅん? 二十歳じゃなくて?」
すぐ隣を歩くあやねが不安そうな声で聞いてくる。
「なにが?」
「顔がカチコチだよ?」
あやねに言われて自分の顔を撫でる。
「いや、うん、大丈夫大丈夫」
「そんな深刻そうに大丈夫って言われても~」
駅から家までの数分間。ある決意を胸に僕は歩いている。
あやねも僕も久しぶりの帰省だ。
あやねは大学の寮から。僕は一人暮らしの家から。
駅からの道は記憶と少し違っていて、懐かしさと新鮮さがごちゃまぜで妙な気持ちになる。
ふ、と横からあやねの手が伸びてくる。
僕の頬をぎゅう~っと摘まんで伸ばす。
「うう、やめろ~」
ぱっと手を離してあやねが僕の顔を覗き込む。
「別に今日言えなくてもいいじゃん」
「う~ん」
僕を見つめる大きな瞳は、小さい頃からずっと変わらない。
いつもキラキラと輝いて、僕を勇気づけてくれる。
ぽん、とあやねの頭に手を置いた。
くしゃくしゃと撫でる。
「あ~、やめてよぉ」
乱れた髪を直そうと手を動かすその仕草が完全に「女の人」で、僕は思わず
「大人になったなぁ……」
と呟いた。
「あはは! なにそれ、おじさんみたい」
笑うと綺麗に弧を描く唇に見とれる。
ずっと見てきた。小さな頃から。
僕のあやね。
「あのさ、僕昔から、大人っていうと二十三歳って思ってたんだよね」
「ふぅん? 二十歳じゃなくて?」