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秘密の二段ベッド
第5章 お兄ちゃんの決意
バタバタと音がして、自分の部屋に駆け込むあやねが見えた。
僕はその姿を見て固まってしまった。
あやねは藤崎さんの例のお土産を身にまとっていた。

ピンクの、ヒラヒラの、スケスケの、大人みたいな下着。
見えたのはほとんど背中側だけだったけど、斜め後ろから腕に隠された胸の膨らみの下半分と、丸い小さなお尻は丸見えだった。

階段の途中で息を呑んで立ち止まったまま、その姿が部屋に消えるのを見送った。
バタンとしまったドアの向こうから、あやねと藤崎さんのきゃーっという悲鳴が聞こえた。
僕は驚いてくるっと踵を返すと階段をダダダッと駆け降りた。

そのまま家を出て自転車にまたがる。
近くの公園まで何も考えずに走り抜けた。

ベンチまで自転車で入って行って降りるとドサッと座り込む。
急ぎ過ぎて息が上がって苦しい。ぜぇぜぇいいながら目をつぶるとあやねの下着姿がちらついてとっさに目を開ける。

なんであんな恰好を見せるんだ……!
ぐっと歯を喰いしばる。
今まで上下でオナニーを聞かせあって興奮していたのに、実際にあんな姿を見てしまうとひどく混乱した。
なんでかは自分でもわからない。
よっぽどえろいことをしてきたくせに。

はーっとため息をつく。
ヒラヒラの、ピンクの、あやねの下着姿。
細い肩にかかる紐、丸くて柔らかそうな胸の膨らみ、綺麗に真ん中に背骨のラインが見える背中、それにTバックで丸見えだった、動くたび震えていた小さなお尻……。
一瞬見ただけなのに、こんなにはっきり覚えている。
ははっと自嘲ぎみに吐き出した笑い声は掠れてみっともなかった。

顔をごしごし擦る。
あんなふうに家を飛び出してきてしまったら戻りづらい、という事に気付いてはっとする。
どうしようか……。
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