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秘密の二段ベッド
第5章 お兄ちゃんの決意

少し前を歩いていたあやねの手を引っ張る。
「あやね、あれ」
振り向いたあやねは僕が指さした方をじっと見つめて、すぐに「あっ!」と叫んだ。
叫んだあと慌てて自分の口をふさぐ。
きっとホタルがびっくりして逃げると思ったんだろう。なぜか僕も思わず「しーっ」と言ってしまった。
前を行く父さんと母さんも気付いて戻ってきて、四人で次々数を増すホタルに歓声を上げた。
光を追いかけながら川をのぼり、少し開けたところで川岸に座ってホタルを眺めた。
僕の隣にはあやねがいて、真っ暗な中をホタルの光が横切る度に楽しげに声を上げた。
興奮しているのか、ぎゅうっと僕の手を握って離さない。
その小さな手は、熱くて、ちょっと湿っていて、まるで僕は心臓を掴まれているような気持ちになった。
川からは涼しい風が吹いてくるのに、僕は体が燃えるようだった。
隣のあやねの気配が近すぎて、どうしていいか分らないあの感じ。
きっともうあの時にはどうしようもない程あやねを好きだった。
握られた手と、くっついた腕と、声を上げるたびに流れてくるあやねの髪の匂い。
今ならすぐ勃起してしまったと思うのだけど、あの頃はなんだかわからない衝動で下半身がムズムズするだけで、だから余計にどうにかなってしまいそうだった。
あんなに綺麗だったホタルのこともあんまり覚えていない。
父さんはそんな僕に気付きもせず、「ちょっとトイレ」とか言って川を上りだした。
「ちょっと、大丈夫?」と母さんが携帯の明かりをつけてついて行く。
あやねはその後姿をじっと見て、ぱっとこっちを振り返った。
「お父さんとお母さん仲良いね」
「……うん」
「嬉しいね」
「うん」
「あやねもあんな風になりたいな」
あやねの手に力がこもった気がした。
僕はその手を握り返して、「あやねはまだ早いよ」と言った。
「あやね、あれ」
振り向いたあやねは僕が指さした方をじっと見つめて、すぐに「あっ!」と叫んだ。
叫んだあと慌てて自分の口をふさぐ。
きっとホタルがびっくりして逃げると思ったんだろう。なぜか僕も思わず「しーっ」と言ってしまった。
前を行く父さんと母さんも気付いて戻ってきて、四人で次々数を増すホタルに歓声を上げた。
光を追いかけながら川をのぼり、少し開けたところで川岸に座ってホタルを眺めた。
僕の隣にはあやねがいて、真っ暗な中をホタルの光が横切る度に楽しげに声を上げた。
興奮しているのか、ぎゅうっと僕の手を握って離さない。
その小さな手は、熱くて、ちょっと湿っていて、まるで僕は心臓を掴まれているような気持ちになった。
川からは涼しい風が吹いてくるのに、僕は体が燃えるようだった。
隣のあやねの気配が近すぎて、どうしていいか分らないあの感じ。
きっともうあの時にはどうしようもない程あやねを好きだった。
握られた手と、くっついた腕と、声を上げるたびに流れてくるあやねの髪の匂い。
今ならすぐ勃起してしまったと思うのだけど、あの頃はなんだかわからない衝動で下半身がムズムズするだけで、だから余計にどうにかなってしまいそうだった。
あんなに綺麗だったホタルのこともあんまり覚えていない。
父さんはそんな僕に気付きもせず、「ちょっとトイレ」とか言って川を上りだした。
「ちょっと、大丈夫?」と母さんが携帯の明かりをつけてついて行く。
あやねはその後姿をじっと見て、ぱっとこっちを振り返った。
「お父さんとお母さん仲良いね」
「……うん」
「嬉しいね」
「うん」
「あやねもあんな風になりたいな」
あやねの手に力がこもった気がした。
僕はその手を握り返して、「あやねはまだ早いよ」と言った。

