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秘密の二段ベッド
第5章 お兄ちゃんの決意
気付くと空が暗くなっていて、僕はため息をついて立ち上がった。
あんなの見せられたら、約束を守る自信がない。手を繋ぐのを我慢するどころか、もう……。
しょうがなく倒した自転車を引っ張り起こしてゆっくり歩きだす。

僕はいつのまにこんなになってしまったんだろう。
気が付けばあやねのことを考えているし、いやらしい想像だってめちゃくちゃしてしまう。
あやねを汚してるみたいでいやだけど、あやねのみだらな声や匂いにずるずると引っ張られて一緒にオナニーして。

終わった後のくすぐったいような連帯感が心地よくて、嬉しくて。
上と下でオナニーするだけじゃなくて、本当に……セックスしたらどんなだろう。
ひとつになれたら。
繋がれたら。

小さい頃はもっと違う僕を思い描いていた。
大人になるまではちゃんと我慢して、あやねを大事にして、そばで見守って。
両親に許してもらえるような立派な男になってから言うつもりだった。
それなのに、中学生でこんなに性欲まみれになってあやねをいやらしい行為に巻き込んで、ずるずると一緒にオナニーして……。

家の前で自転車を止める。
ゆっくり歩いたつもりだったけどもう帰ってきてしまった。
僕はまだ自分一人じゃ遠くにだって逃げられない子供なんだ。立派な男になんてほど遠い。

中からあやねと母さんの笑う声が聞こえてくる。
ぐっと奥歯を噛み締めた。

……もうあやねとオナニーしない。
そう心の中で何度も繰り返す。
もうあやねとオナニーしない。
もうあやねとオナニーしない。
しない。
しない。
しない……。
僕はそう決意して家のドアを開けた。
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