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秘密の二段ベッド
第6章 二人の夜
最初は体調でも悪いのかなと思った。
学校も始まったしサッカー部の練習がきついのかな、とか。
でも、お兄ちゃんは明らかにオナニーをしなくなった。
わたしが始めたらしてくれるかなと思ってしてもしてくれない。
少し音や声を出してみても、下の段からはなんにも聞こえない。
そのうちわたしも恥ずかしくなってきて、あんまりオナニーしなくなった。

夜が近づくとため息が出る。
前はあんなにしてたのに。どうして?
普段の態度はいつもと変わらない優しいお兄ちゃんだ。
やっぱりあの恰好を見られたのが原因なのかな……。

わたしはベビードールをしまいこんだ箪笥を見てため息をついた。
実はちょっと期待していた。
あの姿を見てお兄ちゃんが喜んでくれるんじゃないかって。
大人しくしていたオナニーもまた激しくなるんじゃないかって。
でも逆だった。

お兄ちゃんに、着て見せたかったな……。
最初は恥ずかしくて無理だと思ったけど、今ではそんな風に思っている。
でも、オナニーすらしないのに、駄目だよね……。

だんだん胸が苦しくなってきた。
もう一か月くらい、お兄ちゃんがしている気配はない。
わたしが寝た後にしているのか、どこか別のところでしているのか。

……もしかして彼女ができたとか?
気付いてびっくりする。
そうだ、そうかも。
だからわたしとはしないのかも。

頭の中でお兄ちゃんと誰か知らない女の人が絡み合う図がすぐに頭に浮かぶ。
わたしは頭を振ってその想像をかき消す。

だって、わたしたちにはあの約束があるのに。
内緒の、二人の約束が。
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