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秘密の二段ベッド
第6章 二人の夜
わたしもお兄ちゃんの背中に腕を回してぎゅっとする。
体がすごく熱い。
汗をかいているのか少し湿っぽい感じ。でも全然嫌じゃなくて、優しい動物に洞穴の中で抱っこされてるみたいで安心する。

他の人じゃこんな風には思わなかったはず。
そう思うと、やっぱりお兄ちゃんで良かったと思った。
全部全部、捧げたいと思った。

おでこをぎゅーっとお兄ちゃんの肩に押し付ける。ぐりぐりと擦る。
「んん?」
とお兄ちゃんが優しい声を出してわたしの後ろ頭を撫でてくれる。
もう一方の腕は腰に回されて優しく引き寄せられている。

前にくっついた時の師匠の体とは全然違う硬さ。
ぶ厚くて、がっしりしてて、少し怖いような、もっとめちゃくちゃに抱きしめて欲しいような、矛盾した考えが頭の中を巡る。
でも結局もっとくっつきたくて、わたしはお兄ちゃんの背中に回した腕を一度ひっこめて、今度は首に回した。

「おにいちゃん」
首にしがみつく。体ごとのしかかるようにぴったりくっつく。
膝立ちでお兄ちゃんの足の間に入って、胸もお腹もぎゅうっと。
一度ぐらっと揺れて倒れそうになるけど、お兄ちゃんはしっかりわたしを抱きしめてもとの姿勢に戻る。

そのまま倒してしまいたかったのに、と思うけど、お兄ちゃんの力強さも同時に感じて胸がきゅっとなる。
押し倒そうとして失敗したのが恥ずかしくて、ごまかすように今度は後ろに向けてお兄ちゃんの体を引っ張った。
背中からベッドに落ちる、と思ったのに、お兄ちゃんはまた力を入れてわたしの背中を支え、わたしの体はふんわりとベッドに着地した。
ギシ、と少しベッドが鳴った。
背中の腕にぐっと力がこもっているのを感じた。
食卓でよく見とれたお兄ちゃんの腕が頭に浮かぶ。
いつのまにか逞しくなって、日に焼けたお兄ちゃんの腕。
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