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動物王国
第7章 催眠療法
「…どうぞ…直子…落ち着くわよ…」

ソワソワと居心地悪そうな直子の前に理沙がハーブティを置き影虎の隣に腰を降ろす。

「…あっ…ありがとう…」

ハーブティの香りに直子の心が癒される。

「…あぁぁ…いい香り…」

ティカップに口をつける直子を見ながら理沙が影虎に耳打ちする。

「…たっぷり入れておきました…クスリ…」

影虎がニタリと笑って直子が催淫効果のあるクスリが溶け込んだハーブティを飲むのを待つ。

「理沙から聞きましたが、変な夢を見るとか」

穏やかに話しかける影虎の声にハーブの香りに酔いしれていた直子は我に返る。

「…えっ?…あっ!…はい…」

「それに、思い出せない記憶がある」

「…はぃ…高校2年生の夏休みの記憶が…断片的には思い出すんですが…それが現実なのかどうかも判らず…無理に思い出そうとすると意識が遠退いて寝てしまいんです…」

「そうですか。人間の防衛本能として精神がダメージを受ける程のショッキングな記憶を封印してしまう事があります。多分、高校2年生の夏休みに何か大きな出来事があったんでしょう。直子さんの精神が壊れるくらいの大きな出来事が」

「…はぃ…」

「変な夢を見る原因も、そこにあるかもしれません。早速、治療を始めましょうか」

影虎は隣に座る理沙に声をかける。

「理沙。直子さんの暗示を解きなさい」

「…はぃ…先生…」

「…直子…これから直子にかけた催眠術を解くけど…理沙との約束は忘れちゃダメだよ…」

「…はぃ…理沙との約束は忘れません…」

「何だ?約束って」

「…あっ!…な、何でもないです…いい?…直子…理沙が3つ数えたら直子の催眠術が解けるからね…」

そう言って理沙は3つ数える。

「…あっ…」

小さく声を上げ直子の暗示が解けた。

「…先生…お願いします…」

理沙の術から解放された違和感に目を泳がせる直子に影虎が静かに語りかける。

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